AI情報通:6月15日15時の情報

2026年6月12日にAnthropicは、米政府の輸出管理指令を受けてFable 5およびMythos 5へのアクセス停止を公表するとともに、約5.2万人の米国国民を対象に実施したAI意識調査の結果を公開した。

Anthropicによる最新のリリース

  1. Anthropic "Statement on the US government directive to suspend access to Fable 5 and Mythos 5"
    Anthropicは、米政府からFable 5およびMythos 5について米国国民以外の利用を止めるよう指示を受けたため、両モデルの提供を全利用者向けに一時停止したと公表した。
    同社によれば、米政府は、利用者がFable 5に特定の指示を与えることで、安全上の制限を一部回避し、結果として攻撃に悪用されうるソフトウェアの弱点を探せる可能性があると認識した。それを国家安全保障上の懸念として扱ったと報道された。
    一方でAnthropicは、その手法で確認されたのは少数の既に知られている軽微な脆弱性であると説明している。そのうえで、政府の指示には従うものの、こうした限定的な安全対策回避の可能性だけを理由に提供停止を求めることには同意しておらず、先端AIモデルの公開を萎縮させかねないとの見解を示している。

    [リンク]
    Anthropic. "Statement on the US government directive to suspend access to Fable 5 and Mythos 5." June 12, 2026.
    https://www.anthropic.com/news/fable-mythos-access

  2. ワンポイント:Anthropicが実装している安全対策「多層防御」とは?
    多層防御とは、AIモデルやその利用環境を危険な使い方から守るために、1つの安全対策に頼るのではなく、複数の確認や制御を重ねる仕組みである。
    具体的には、すべての質問や指示に対し、まずはFable 5に付属するAI検知システムが自動で危険性の有無を見極め、一定のリスクがあると判定された場合にのみ、別のモデル(Opus 4.8)による追加の安全性確認を行うことによって、その質問や指示に応答できるかどうかを改めて判断する防御方法を指す。
    この考え方の長所は、すべての利用を一律に厳しく止めるのではなく、高リスクの利用を重点的に見分けようとする点にあり、危険な内容は見逃しにくくしつつ、通常の利用は過度に妨げない運用をしやすいことである。安全性を高めながら、通常利用の使いやすさも一定程度保ちやすいことが、多層防御の特徴である。

    多層防御の説明

  3. Anthropic "Results from the first Anthropic Public Record"
    Anthropicは、2025年11月から12月にかけて約5.2万人の米国国民を対象に実施したAI意識調査の結果を公表し、AIへの期待と不安、ならびに政府関与への考え方をまとめた。
    アンケートの結果、米国国民は、がんやアルツハイマー病などの治療、障害のある人の支援を期待している一方で、懸念としてはAIによる雇用喪失が最も大きく、次いで、AIの普及によって、自分で考える力が損なわれることや偽情報の拡散に不安を感じていることが明らかになった。
    加えて、AIの開発や利用に関する重要な判断をAI企業が適切に行うと信頼する人は15%にとどまる一方で、AIの開発と規制に政府が関与すべきだと考える人は71%に達した。AI企業に損害への法的責任を負わせることや、成長より安全を優先することを求める声が強いことが示唆される。
    Anthropicは、この調査結果を受け、AIの方向性は開発企業だけで決めるべきではなく、市民の期待と懸念を把握しながら、安全性評価、透明性確保、および雇用影響への備えを含む政策に反映させる必要があるとの考えを示している。

    [リンク]
    Anthropic. "Results from the first Anthropic Public Record." June 12, 2026.
    https://www.anthropic.com/news/anthropic-public-record

その他のAI関連情報

  1. White House "National Security Presidential Memorandum/NSPM-12"(2026-06-12)
    ホワイトハウスが国家安全保障システムのサイバーセキュリティに関する大統領覚書を公表し、NSAによる標準設定や各機関の実装責任を明確化した。
    https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2026/06/national-security-presidential-memorandum-nspm-12/

  2. White House "Fact Sheet: President Donald J. Trump Defends America’s Warfighters and Intelligence Officers Against Cyber Threats"(2026-06-12)
    ホワイトハウスは、国家安全保障システム(NSS)のサイバー防御強化とガバナンスの近代化を目的とする大統領覚書を発出した。
    https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/06/fact-sheet-president-donald-j-trump-defends-americas-warfighters-and-intelligence-officers-against-cyber-threats/

  3. European Commission "AI Board convenes its eighth meeting"(2026-06-12)
    欧州委員会のAI BoardがAI Act実装、AI生成物表示の実務規範、科学パネルと助言フォーラムの立ち上げを確認し、制度運用の具体化を進めた。
    https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/ai-board-convenes-its-eighth-meeting

  4. European Commission "EU-wide cyber exercise tests response to attacks on rail and maritime networks"(2026-06-11)
    ENISA主導で5,000人超が参加するEU全域演習が実施され、鉄道・海運への攻撃を想定して2025年版EU Cyber Blueprintの初検証が行われた。
    https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/eu-wide-cyber-exercise-tests-response-attacks-rail-and-maritime-networks

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